将棋界の風雲児!2017年2月に歴史上初めて外国人女流棋士が誕生しました!
中央ヨーロッパのポーランド出身で白くて美しい肌の持ち主の彼女は、世界的に人気のある日本の漫画から将棋への興味を持ちます。
調べるうちに将棋に魅了され、将棋の腕前をインターネット将棋対戦サイトで磨き、『ヨーロッパにとても将棋が強い女の子がいるらしい』という噂が広まると、ついには日本の女流棋士との出会いに繋がります。
日本という異国の地で「女流棋士になりたい!」という夢をもった彼女は、言葉や文化の壁に戸惑いながらも着実に女流棋士への道を歩んできました。
それでは今回は、日本将棋連盟に所属する初の外国籍の正規女流棋士、カロリーナ・ステチェンスカさんを紹介します!
カロリーナ (クリスティーナ・ステチェンスカ) さんのプロフィール
・生年月日 1991年6月17日
・年齢 26歳
・出身地 ポーランド・ワルシャワ
・血液型 AB型
・最終学歴 山梨学院大学
・身長 158cm
・体重 非公開
・所属 片上大輔六段門下
・段位 女流1級
カロリーナさんの女流棋士になるまでの道のり
カロリーナさんはポーランド・ワルシャワの出身。
将棋を知るきっかけになったのは16歳の時で、自身の愛読していた日本の漫画『NARUTO -ナルト-』の登場人物の奈良シカマルが指していた将棋をチェスとは違い、相手の駒を取ると自分の駒にできるルールに興味を持ち、調べているうちにどんどん将棋に魅了され、日本将棋連盟が後援する無料のインターネット将棋対戦サイト「81Dojo」で、実際に対局をするまでになります。
その後「81Dojo」での対局を重ね、その実力が数年後には日本の女流棋士の、北尾まどか女流二段の耳に届きます。北尾まどかさんは「81Dojo」でカロリーナさんと実際に対局し、確かな実力を目にしたことから、チャットを通して来日を勧めました。
また、北尾まどかさんは、カロリーナさんの両親を説得するため、渡航費をすべて負担し、日本では自宅にホームステイさせるという高待遇を約束しました。そして2011年6月17日、ついにカロリーナさんは初来日を果たします。
初来日・そして将棋界初の女流棋士へ
北尾まどかさんは初来日したカロリーナを温かく迎え、日本の文化や生活を教えたり、各地の将棋道場に連れていったりするなど、カロリーナさんに日本と将棋を紹介しました。
そういった中でだんだんカロリーナさんの心の中には『女流棋士になりたい!』という夢が生まれたそうです。
帰国してポーランドに戻った後は再びインターネット対局で腕を磨き、初来日から約1年後の2012年5月に、第2期リコー杯女流王座戦の海外招待選手として出場。1次予選での対局相手・高群佐知子女流三段に見事勝利し、外国人女性として女流棋戦での初めての勝利者になります。
その後4度の来日を経て、2014年7月には、ハンガリーのブダペストで開催されたヨーロッパ将棋選手権で、ヨーロッパチャンピオンとワールドオープンチャンピオンの両部門で優勝する快挙を達成。
そして女流棋士になるための研修会のC1クラスに昇級し、女流3級の資格を得ます!
女流3級から女流2級へ
女流3級といってもまだプロとは認められず、2級に昇格してやっと一人前というのが将棋の世界なのです。
その後2年間の期間内で規定の成績を上げれば女流2級に昇級し、正式な女流棋士になるが、昇級できなければまた研修会に戻るという厳しい制度です。 初めは、第43期女流名人戦予選1回戦で山口恵梨子現・女流二段に敗れ黒星スタート、2016年に入り、第24期倉敷藤花戦でも初戦で敗れるという苦しい序盤でした。
女流2級になるための残り期間が1年間となった2017年に入ると、第44期女流名人戦予選で安食総子・山田久美に連勝し、女流2級となる同予選決勝進出まであと1勝としました。そして2月20日、同予選準決勝で貞升南に劇的な大逆転で勝利し、予選決勝進出と共に女流2級に昇級しました。これにより、日本将棋連盟に所属する初の外国籍の正規女流棋士が生まれた瞬間なのでした!
カロリーナさんのエピソード!
◊来日したカロリーナさんが苦労したもののひとつが「正座」で、正座での対局に慣れるため、詰将棋を正座しながら解くなどして特訓を重ねたそうです。
◊振り飛車党で、力戦型を好みます。日本の母である北尾まどかさんによると、連勝連敗型の棋士で「波がある」と評されています。
◊双子の妹がいて、カロリーナさんと同じく漫画を愛好するが、自身とは対照的な性格で将棋には関心を持たなかったのだとか。
◊将棋以外に日本で好きなものは、漫画と和食。好きな和食は蕎麦と回転寿司で、餃子も好物。カレーと牛丼は自分で作れるようになったそうです。
現在は初の外国人女流棋士として飛躍中!
2017年2月20日付で正式な女流棋士となったカロリーナさんは、3月9日の第44期女流名人戦予選決勝で勝てば、女流名人リーグ入り&女流初段への飛付昇段となるところでしたが、石本さくらに敗れ、飛付昇段とはなりませんでした。
しかし、同年度成績は最終的に8勝8敗となり、年度指し分け以上(7勝以上)の条件を満たしたため、4月1日付で女流1級に昇級しています!
「外国の友達に将棋を教えたい。棋書を翻訳したい。世界に将棋を広めたい」
と将棋について熱い思いを語っているカロリーナさんの活躍に、これからも目が離せません!
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