2015年シーズン限りで、谷繁元信選手兼任監督が選手を引退し、2016年からは監督一筋になることが決まりました。そのため、2016年は、中日ドラゴンズの正捕手争いが熾烈を極めることになります。2015年シーズン、中日ドラゴンズの捕手は、谷繁選手兼任監督を除いて4人でスタメンを回していました。杉山翔大(47試合)、松井雅人(41試合)、桂依央利(32試合)、武山真吾(8試合)の4人です。2016年シーズンは杉山、松井、桂の3人に加え、ドラフトで指名した即戦力候補の木下拓哉(トヨタ自動車)の4人でレギュラーを争う形になることが予想されます。
桂依央利という男
レギュラー候補の一人、桂は2013年のドラフトで中日ドラゴンズから3位指名を受け大阪商業大学から 入団しています。ドラフト当時から即戦力捕手の呼び声も高く、谷繁の後継者候補と目されていました。それもそのはず、関西六大学リーグでは首位打者、ベストナインを獲得していたからです。また、強打だけでなく強肩でも知られておりました。
順風満帆にドラフト指名されプロの世界に入った桂ですが、キャンプのキャッチボールですらフラフラです。その当時は、キャッチボール相手が谷繁監督ということもあり緊張していただけと見られていましたが、その後、二軍戦で試合に出場するも二塁への送球はおろか投手への返球もまともに出来ません。そうイップスです。ここから桂の血の滲むような努力が始まります。
イップスを克服するために
2014年4月の下旬から前田コーチと二人三脚での猛特訓が始まります。内容は、前田コーチがマウンドから投げる球を、キャッチャーボックスで受け、前田コーチに返すことです。しかし、ただ返すだけではありません。それだけではなく、左右のバッターボックスにネットを置き、フォームを固めることを意識させるために意図的に狭い空間を作ったのです。この単純練習を1ヶ月半もの間、毎日300球行います。その間は、チームの練習には当然参加しますが試合には参加せず見学しているだけです。野球選手が怪我をしているわけでもなく試合に出られず、見ているだけというのはとても苦しいことです。それを乗り越えられる精神力を持ち合わせていたからこそ、レギュラー争いに加わるまでになったのです。
イップスを克服した2015年
2014年の前半に前田コーチとの二人三脚のトレーニングを経て、見事イップスを克服した桂は、2015年4月21日に一軍でプロ初スタメンを勝ち取ります。その試合で1号本塁打を含む2安打を放ち、守っては大野を完投勝利に導きます。これでさらなる自信がついたのか2015年は32試合に先発出場し中日ドラゴンズの正捕手争いを出来るまでの選手になります。
2016年シーズンはレギュラー争いが今まで以上に熾烈になりますがイップスを克服した精神力でぜひとも勝ち取ってもらいたいものです。
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