打棒の復活はなるか?
巨人は原監督が退任し、高橋由伸選手が現役引退、監督就任と言う新たな歴史が始まりました。2度目の原政権下では、2007-2009年、2012-2014年の3連覇2回という素晴らしい成績を残しましたが、その間キャッチャーには必ず阿部の名前がありました。
2007年からはチームのキャプテンを務めたことから、打撃の中心4番、守備の要の捕手、主将といういわば3足のわらじを履き続けていました。2015年からはキャプテンは坂本選手に譲り、捕手から内野手への登録変更も実施していますが、2014年、2015年と成績は下降しています。度重なる怪我、年齢からくる衰え、などから阿部の時代はこのまま終わってしまうのか?2016年のキャンプでは、まさに進退をかけたものになると思います。その意識は、自主トレにもあらわれており、「阿部組」とも言われた大人数でのグアムキャンプをやめ、単身でグアム自主トレに臨んでいます。たった一人で、徹底的に追い込むことで精神的にも肉体的にも復活をかけたシーズンを送るための決断だと思います。
阿部と言えば、やはり長打力が魅力です。いわゆるゾーンに入った時の阿部は、手が付けられませんでした。バットに当たればホームランのような恐ろしいオーラを放った様が今でも忘れられません。一方、昨年のヤクルトとのクライマックスシリーズで見せた徹底的なヒット狙いの打撃もできる選手です。あえてバットを短く持つことで、ホームランは0本でしたが、16打数11安打、打率6割8分8厘という驚異的な数字を残しました。どちらの阿部で臨むのか、シーズンが始まらないとわかりませんが、あと少しのシーズンをレギュラーから代打の神様という高橋監督の晩年と同じような軌跡をたどるためにも、2016シーズンは復活を期待します。
はたしてポジションはキャッチャー?ファースト?
阿部は、そのポジションにも注目されています。打てる捕手として10年以上、巨人の大黒柱を担ってきましたが、やはり怪我が付き物のポジションだけに143試合すべてをキャッチャーで迎えるのは、正直きついでしょう。巨人には、期待の若手小林捕手がいますが、まだまだ一人前とは言えません。2015年は阿部がファーストにコンバートすることから、小林をバックアップで、相川捕手を獲得したくらいです。小林を正捕手で行くというチーム方針の表れでありましたが、昨年、原前監督は「阿部のキャッチャー復帰は99%とない」とコメントしたにもかかわらず、開幕7試合目でそれを破るという禁じ手を使いました。巨人には、常に勝ち続けなければならないという宿命があります。シーズン後半に負けが込んで来たら、若手に経験を積ませて成長させるという戦略がとれないことこそが常勝軍団の宿命なのです。だからこそ実力でポジションを奪い取らなくてはなりません。阿部の復活と、小林の成長のバランスがうまくマッチするか見どころの一つです。
一部、スポーツ誌には、主力投手である山口、ポレダ、マシソンから専属捕手希望が出ているとありました。投手に応じた捕手起用となるのかは、新監督の手腕にかかっています。阿部がファーストとキャッチャーの両ポジションにつくのであれば、もちろん打棒復活は欠かせないため、復活を期待したいです。
髙橋新監督の初陣シーズンに胴上げできるか?
昨年、ヤクルトとのクライマックスシリーズに敗れて、日本シリーズへの進出権を逃した巨人。最後のバッターは、高橋由伸でした。まさか選手として最後のバッターボックスになるとは思ってなかったでしょう。敗戦後、チームを応援してくれたファンに最後の挨拶をするためにグラウンドに出た原監督は、阿部と坂本を呼び寄せます。そこで二人には監督辞任を自らの言葉で伝えたとされています。呆然とする二人をよそに、晴れやかな表情でファンに手を振る原監督。一つの時代が終わった瞬間でした。宿命の糸に操られるように監督に就任した高橋監督は、もしかしたらもうすこし現役を続けたかったかもしれません。その想いも受けて最後の一花を阿部には咲かせてほしいものです。
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